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てんろ石灰による根こぶ病制御
根こぶ病とは
根こぶ病とは、アブラナ科野菜生産地で猛威を奮う、土壌伝染性難防除土壌病害です。
根こぶ病制御のポイント

てんろ石灰の特徴・・・・
- ケイ酸カルシウムを主成分としてマグネシュウム、燐酸、鉄、マンガン、ホウ素の微量要素を含有する土壌改良資材である。
- 土壌のpH矯正がやや緩慢であるが、酸性改良効果が持続する。
ケイ酸 | アルミナ | 鉄 | 苦土 | マンガン | 石灰 | リン | ホウ素 |
15.0% | 3.1% | 20.0% | 4.0% | 3.0% | 38.2% | 1.0% | 0.01% |
てんろ石灰の形状と組成

転炉スラグはカルシウムシリケイト:2CaO.SiO2、3CaO.SiO2 (黒い部分)とカルシウムフェライト2CaO.Fe2 O2(白い部分)で構成される。
てんろ石灰中のカルシウム成分の反応について

てんろ石灰のカルシウム3成分の割合について

@カルシウム総量は10%程度含有する。
A3成分の重量比は遊離Ca40%占める。
白菜、カブ、キャベツ、ブロッコリーが根こぶ病に狙われている。


アブラナ科の根こぶ病とは?

- 根こぶ病とは糸状菌を病原にするアブラナ科野菜特有の土壌伝染性の病害である。
- 根こぶ病の発病は土壌の種類、pH,野菜の種類、品種や土壌中の病原菌密度、病原力が大きく影響する。
- 根こぶ病の休眠胞子
土壌中の休眠胞子が発芽して、根毛感染が起こる。根に「こぶ」ができ、木部導管による地上部への葉水分の移動が妨げられ萎縮・枯死する。
根こぶ病の生活環

東京農業大学土壌学研究室 技術資料より抜粋
根こぶ病の退治はてんろ石灰で土壌pH7.3以上

- てんろ石灰の施用量は土壌によって異なる(緩衝能曲線)
- 畑は水はけが良いこと(大型機械の下層圧密)
- 苗の育苗にもてんろ石灰(初期感染防止)
- おとり大根と連作から輪作へ(燕麦、ライ麦、ヘイオーツ)
土壌のpH緩衝曲線の作成
- てんろ石灰の施要量は土壌タイプ、土性、腐植含量で大きく異なるので必ず緩衝能曲線を作成。
- 畑の5〜6ヶ所から作土を採り混合し、2ミリの篩で礫や根など取り除く。
- 生土100g(最大容水量59%)にてんろ石灰0.5〜5gを添加し、1週間ほどおき水250mg加え1時間振とう後pH測定(従来のタンカル添加通気法と異なる)

土壌のpH緩衝曲線と施用量
投入量 | t/10a 作土深 10p |
t/10a 作土深 15p |
t/10a 作土深 30p |
てんろ石灰 投入価格概算 (作土15p ) |
岩手町@ | 2.2 | 3.3 | 6.5 | 71.610 |
岩手町B | 1.7 | 2.6 | 6.2 | 67.420 |

投入量 | t/10a 作土深 10p |
t/10a 作土深 15p |
t/10a 作土深 30p |
てんろ石灰 投入価格概算 (作土15p ) |
岩手町C | 3.7 | 5.6 | 11.1 | 122.100 |
岩手町D | 3.3 | 5.0 | 9.9 | 108.900 |

てんろ石灰の作土改良深
- 土壌pH緩衝能曲線から土壌のpH7.5目標値を読み取る。例えば100gに対して4gだと10アール当たりてんろ石灰施用4tになる。
- この値は、作土深10cmのてんろ石灰施用である。
- 実際のほ場では、土壌の仮比重と改良する作土深を考慮する。作土深15cmの場合は1.5倍にする。
- てんろ石灰の作土改良深は15cmを基本とするが、青森県(2010年青森農林総合研究所)は作土深30pを改良目標にしている。
大型機械によるてんろ石灰散布
その1:ライムソワー+ホークリフト、バックホー[フレコン200キロ×8袋)




その2:ライムソア蓋全開900L,てんろ石灰1600キロ散布)





- てんろ石灰散布後直ちにロータリー撹拌(降雪、雨で固結防止)
- ロータリ深15p
- サブソイラーで下層土のコンタミ注意
緩衝能曲線理論値と実測地 [定植前pH7.3以上確認」
圃場NO | 土 色 | 理論値pH7.5 | 実際の施用量 | 施用+7日 | 備考 |
38 | 2/2黒褐 | 3.1t | 3.0t | 7.39 | |
36 | 2/3黒褐 | 4.7t | 4.7t | 7.40 | |
29 | 2/3黒褐 | 2.6t | 3.5t | 7.22 | 2回 |
31 | 1.7/黒 | 5.3t | 8.0t | 7.38 | 2回 |
43 | 1.7/黒 | 5.6t | 5.5t | 7.06 | |
44 | 1.7/黒 | 4.9t | 5.0t | 7.39 | |
20 | 1.7/黒 | 4.9t | 6.5t | 7.10 | 2回 |
てんろ石灰多量施用の生育状況
岩手町 ミウラ農場




育苗土にてんろ石灰添加で被害軽減
- 市販の育苗床土によっててんろ石灰量の必要量が異なるので緩衝能曲線を作成しpH7.5目標値から添加量を決定すること。
- 育苗土がpH8.0以上になると苗の生育に影響するので注意(平成20,21青森農業総合研究所)

育苗床土の緩衝曲線作成
- 市販の育苗床土は水分が少なく、仮比重が軽いので土壌1対水2,5になるように調整し5時間振とうの簡便法でも良い。
- 土壌pH緩衝能曲線から土壌のpH7.5目標値を読み取る。三研170は1.5gなので培土10`当りてんろ石灰150g添加となる。

てんろ石灰による育苗床土pHとキャベツの生育
- 育苗床土の緩衝能曲線からpH7.5,8.0,8.5 目標のてんろ石灰を混合。
- 品種:夏さやか
- 30℃2日加温

育苗と本畑のてんろ石灰施用効果(H20,21青森農研)

てんろ石灰の持続効果
年 | 野菜の種類 | 跡地pH | 交換性Ca | 胞子密度 | 発病度 |
改良前 | ブロッコリー | 5.8 | 20.1 | 100 | 100 |
1年目 | ブロッコリー | 7.9 | 41.4 | 32.1 | 2.9 |
2年目 | カリフラワー | 7.9 | 20.1 | 9.9 | 0 |
3年目 | カリフラワー | 7.9 | 41.4 | 3,4 | 0 |
6年目 | カリフラワー | 7.9 | 20.1 | 検出限界以下 | 0 |
9年目 | ブロッコリー | 7.9 | 41.4 | 検出限界以下 | 0 |
11年目 | カリフラワー | 7.9 | 41.4 | 検出限界以下 | 0 |